狛江市のごみ半減新聞がおもしろい

東京都狛江市の「ごみ半減新聞」が参考になり、面白い。
経費などの情報公開度が高い。
情報公開度の低い市は、プライバシーなどを言い訳にするが、たいていは職員に知識がなかったり、面倒だから公開しないことが多いような気がする。ヘタに質問されても答えられないため。
狛江市は、ごみの組成分析も一般市民への参加を求め、分析結果を公表している。
一般市民への参加は通常、ごみ排出者へのプライバシーに配慮して、なかなか一般参加を求めないものだが、おそらくそのあたりは何らかの手を打った上で、一般市民を参加させているのだろう。
組成調査に参加することは、市民にとって、よい勉強になるはず。
46号を見ると、住民の古紙の選別が進んでいることがよくわかる。

審議会の名前も「狛江市ごみ半減推進審議会」。
ごみ半減への市の意欲がよく伝わってくるネーミングだ。

<参考>
ごみ半減新聞バックナンバー↓
https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/41,0,323,2025,html
狛江市ごみ半減推進審議会↓
https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/51,0,481,html

環境省、使用済み紙おむつリサイクルのガイドライン発表

環境省が、使用済み紙オムツのガイドラインを発表した。

紙オムツは使い捨てだから布オムツの方が望ましいのはいうまでもないが、赤ちゃん用はともかくとして、大人用紙オムツは高齢化社会の必需品だろう。

そうであれば、焼却よりもリサイクルの方が望ましい。脱焼却・脱埋立を目指すゼロ・ウェイスト政策を実現するためにも、紙オムツのリサイクルは欠かせない。

もちろん、リサイクル施設からマイクロプラスチックが漏れ出すことのないように万全を期す必要があるし、コストや環境負荷、衛生面などクリアしなければならない問題は多い。

紹介事例の中で、リサイクルする場合と焼却の場合のCO2比較やコスト比較をしているケースがあり、参考になる。

日本での事例として、福岡県大木町、鹿児島県志布志市、鳥取県伯耆町を紹介している。鳥取県伯耆町はリサイクルというより熱回収だが、これはこれで参考になる。焼却炉老朽化に伴い、可燃ごみを減らすための策として始めたようだ。小さい町でも可能であることに勇気づけられる。

イタリアの技術も紹介されている。「焼却と比べ、1 トンの使用済紙おむつあたり 388kg の二酸化炭素減少となる」「リサイクルは、95%可能であり、残りの 5%は焼却して、熱高圧加水分解装置に注入する蒸気の発生に使用」(p.60)と試算されているそうだ。

<参考>

環境省「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」

http://www.env.go.jp/press/files/jp/113702.pdf

 

日立造船、豪州でごみ焼却発電所を運営

日本経済新聞によると、日立造船がオーストラリアでごみ焼却発電所を運営する。

オーストラリアに新設する発電所の運営を2022年から20年間になうとのことで、総事業費は約400億円だ。

中国がプラスチックごみなどの海外からの受入れを停止したのを機に、ごみを焼却する動きが世界的に高まっている。

それ以前からも、EUなどはプラスチックは埋立禁止の方向だ。

そのため、途上国はもちろんのこと、先進国でも焼却炉は一定のニーズがある。しかし、焼却炉を売ったという話はよく聞くが、運営まで請け負うという話は初めて聞いた。

今後、このようなインフラ輸出が増えれば、「ゼロ・ウェイスト」路線をとる国は減るかもしれない。

<参考>

日本経済新聞(2019.12.24)「日立造船、海外でごみ焼却発電所を運営」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53717250T21C19A2000000/

 

 

上勝町、廃棄物ゼロの奇跡の町として紹介

世界で10都市、ゼロ・ウェイストの町が紹介される海外のシリーズ記事で、上勝町がシリーズの6番目に紹介された。

上勝町は2003年、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言をした町だ。2020 年までに焼却・埋立てごみゼロを目指す政策に取り組んでいる。

同記事によると、2016年に上勝町のリサイクル率は81%を達成したとのこと。

ゼロ・ウェイスト政策によりコストも抑えられ、焼却していた頃のごみ処理費用に比べ、3分の1が節約できた。年間ごみ処理費用は約600万円、加えてリサイクルにより約100万円の収入があるそうだ。

このシリーズでは、これまでフィリピンやインドネシア、ベトナムなどの町が紹介されている。

<出所>

Down To Earth(2019.12.27)Ten zero-waste cities: Kamikatsu, Japan’s zero-waste miracle town;

https://www.downtoearth.org.in/news/waste/ten-zero-waste-cities-kamikatsu-japan-s-zero-waste-miracle-town-68577

長野市、ごみ発電で「環境教育」は本当にエコ?

長野は昔から教育熱心な県だ。

しかし、このごみ発電授業は、本当に環境教育なのだろうか。

「ごみ処理場で発生した熱が電気に変わる仕組みなどを説明」とのことで、確かに科学の勉強にはなる。しかし、これが理解できるのは高校生程度ではないか。

小学生にこの授業をすると、「ごみを出しても電気になるから大丈夫!」という安心感ばかりを植え付けてしまいそうだ。

発電量とごみ量はトレードオフの関係になる。

それをどう理解させるのか、小学生では難しい。おそらく授業の最後に「ごみを減らそうね」ということはいうのだろうが、それと発電の話をどう結びつけ、どうするのが環境によいと考えるのか、おとなでも迷う。

まして「電力の地産地消」や「二酸化炭素(CO2)の削減」の話までするとなると、余計に混乱する。二酸化炭素の削減ならば、まずは省エネで、そのためにごみを極力出さないことが出発点のはず。

小学生には、創エネよりも省エネを教えてほしいし、ごみ処理を焼却に頼っていては、CO2削減にはならない。

どうしても出てしまうごみを、まとめて広域処理で発電する、ということならば、現状ではやむを得ない選択かもしれないが、広域処理だと地産地消とはいいにくい。

ごみ発電で本当に地産地消するならば、よほどたくさんごみがないと難しく、それではCO2削減にも、温暖化対策にもならない。

ごみ発電施設に「ながの環境エネルギーセンター」などという名前を付けたばかりに、こんなハードルの高い授業を小学生にせねばならなくなったのだとしたら、小学校の先生方も迷惑だろうと思う。

先生「ごみを出さないように、ものは大事に使おうね。まずは減らすことが大事だよ。どうしても出てしまうごみはリサイクルしよう」

生徒「でもそれだと発電できないよ。電気の地産地消もできなくなるよ。それでもいいの?」

という会話が聞こえてきそうだ。

以下、日本経済新聞(2019.8.17)↓

環境教育は篠ノ井西小学校の4年生、約120人を対象に実施した。講師は日立造船の小売電気事業室の担当者で、ごみ処理場で発生した熱が電気に変わる仕組みなどを説明した。

長野市は近隣の市町村と協力し、3月に可燃ごみの処理施設として「ながの環境エネルギーセンター」を稼働した。発電した電気は日立造船が買い取り、今後3年間市内の小中高80校に供給する。電力の地産地消や二酸化炭素(CO2)の削減などにつなげる。

<関連記事>

焼却施設でエネルギーの地産地消?!長野市

<参考>

日本経済新聞(2019.8.17)「長野市と日立造船、小学校でごみ発電の環境教育」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47441840X10C19A7L31000/

ベトナム ダイオキシンデーに「ドクちゃん」来日、日本のダイオキシン問題も終わっていない

かつて「ベトちゃん、ドクちゃん」で日本でも知られていたドクさんが、来日し、対談するそうだ。

ベトナム戦争時、ベトナムの兵士達の食料源であり、隠れ場所でもあった森を枯らすため、アメリカ軍によって枯葉剤が撒かれた。その枯葉剤にはダイオキシンが含まれていたため、散布地域には多くの奇形児が生まれた。

その一人が1981年に生まれた結合双生児のドクちゃんだった。兄のベトちゃんの体調悪化により、日本も支援して1988年に二人の分離手術が行われた。つながっていた下半身を分けたのである。

手術は成功したが、ベトちゃんは2007年に死亡。ドクちゃんはボランティア活動で知り合った人と2006年に結婚し、2008年に男女の双子を授かった。

双子の名前は、フーシ(富士)とアインダオ(桜)と名付けられた。

その後、ドクさんは時々来日している。現在、障がい者支援のボランティア組織を立ち上げ、ホーチミン市で活動をしているとのこと。

枯葉剤が撒かれた期間は1961年から1971年までの約10年間。今もベトナムでは、枯葉剤被害者が生まれ、苦しんでいるそうだ。

枯葉剤は、撒かれたベトナムの人ばかりでなく、撒いたアメリカ人兵士をはじめ、韓国、ニュージーランド、オーストラリア各国の兵士たちも浴び、白血病や皮膚癌などで、多くの死者をだしたと聞く。アメリカでは、退役軍人により訴訟もおこされた。

ベトナム戦争で使われた枯葉剤については、日本でも大量に保管されていたことなどが、かつて国会でも問題になった。

それについて、筆者はあまり詳しくないが、ダイオキシンによる被害は世界のどこよりも(あるいはベトナムと並んで)日本が早かったことは確かだ。1968年に起きたカネミ油症事件である。

カネミ油症も、油を直接食べていない被害者の孫の世代にまで影響が出ているが、救済はおろか、認定も進んでいない。

カネミ油症はPCBからの発生だが、ダイオキシンは、有機塩素化合物の製造工程や焼却炉からも副産物として発生する。日本の海や川底にも沈んでいる。

昨年、鎌倉に漂着したシロナガスクジラの赤ちゃんの筋肉や肝臓、脂肪層からもダイオキシンが検出された。

今まで流した分は仕方ないが、せめてこれから発生する量は減らしたい、とベトナムダイオキシンデーを前に考えている。そのためにも、「脱・焼却」を進めたい。

☆8月11日開催のベトナムダイオキシンデーのイベント詳細↓

http://www.koubunken.co.jp/news/n30619.html

G20、米中に配慮、大阪ブルー・オーシャン・ビジョン

29日、G20が閉幕した。
気候変動ではアメリカに配慮した結果、一歩も進展しなかった。海洋プラスチック汚染では中国にも配慮した結果、「2050年までにプラスチックごみの海洋投棄をゼロにし、さらなる海洋汚染をゼロにする」となった。
欧州の国々は「2030年まで」のゼロを求めたという。
また、大阪サミットに先駆けて開催されたG20エネルギー・環境関連閣僚会合で決まった「G20 海洋プラスチックごみ対策実施枠組」には、数値目標がない。

詳細は今後決まるらしいが、日本のごみ処理方法(本来、生産者責任で回収すべきものまで税金を使って回収し、回収したごみを焼却炉で燃やす)を途上国に押しつけるだけになるのではないかと心配だ。
今のところ、日本が支援する予定の国は、インドネシアと南アフリカか。
焼却炉を途上国に売ることは、地球規模でのプラスチック汚染と温暖化を解決することにはならないだろう。

強国に配慮しつつ、単に各国首脳の発言や思惑の共通項をとりまとめただけの「首脳宣言」では、議長国として失敗だったのではないか。

この大阪ビジョンで読み取れるのは、海洋へプラスチックを流出させているのは途上国で、日本は流出させていないから日本のやり方を教えてあげよう、という傲慢な勘違いと、焼却炉を買わせて将来に渡って稼ごう(定期的にバグフィルターを交換するなど維持費が必要)というソロバン勘定だけだ、といったら言い過ぎだろうか。

<参考>

環境省「G20 海洋プラスチックごみ対策実施枠組(仮訳)」

https://www.env.go.jp/press/files/jp/111883.pdf

日経新聞(2019.6.29)「「公正・無差別な貿易へ努力」G20首脳宣言採択し閉幕」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46772370Z20C19A6MM8000/

日経新聞(2019.6.30朝刊)「廃プラ削減険しい道 流出元 把握進まず」

朝日新聞(2019.6.30)「(社説)大阪G20閉幕 安倍外交の限界見えた」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14076118.html?iref=com_rnavi_arank_nr01

朝日新聞(2019.6.29)「日本政府、南アフリカに2億円 海洋プラごみ対策で協力」
https://digital.asahi.com/articles/ASM6Y3FDDM6YULFA003.html

インドネシア、ごみ焼却発電を10都市に導入?!

インドネシアは、ジャムベックらの試算によると、世界第2位の海ごみ発生国(2010年に海へ流出させたプラスチック量が2番目に多い国)であるとされている。
また、インドネシアに漂着したクジラの死骸から、プラスチックごみが大量に見つかったのもまだ記憶に新しい。
そのためか、インドネシアでもプラスチックの取扱いが厳しくなってきている。
例えば、レジ袋を有料化している地域が増えてきた。
また、まもなくプラスチックごみの輸入も禁止するそうだ。
おそらく輸入古紙も夾雑物の割合などが厳しくなるだろう。
それはとてもよいことだと思う。

しかし、インドネシアは今後3年間で焼却炉を10都市に導入するとのこと。ごみを焼却発電するそうだ(毎日新聞2019.6.26)。
ごみの焼却発電など、決して高効率とはいえない。
せいぜい10%〜20%、うまくいって、20%を少し超える程度ではないか。
それよりは、使い捨てを減らすことでプラスチックを削減し、出たごみの回収、リサイクルに尽力すべきだろう。

アメリカでは、GAIAというNPOが焼却炉についての新レポートを出したという。
『アメリカにおける焼却炉の時代は終わりつつある』というタイトルだ。
アメリカでは、焼却施設は差別されている地域に多く、73ある焼却施設の8割はマイノリティに設置されているそうだ。
どんな高性能の焼却炉でもダイオキシンなどの有害物質の発生を完全にはなくせない。
しかも、ごみ量を10分の1にするだけで、後には有害な焼却灰も残る。仮に焼却灰をセメントなどに利用しても、その利用先の環境汚染を長期間気にしていなければならない。
日本は1990年代、世界最大のダイオキシン汚染国だと言われていた。
欧米がダイオキシンを気にして、プラスチックごみを簡単には燃やさなくなってからも、プラごみを気軽に燃やし続けていたためだ。
その汚名は、ダイオキシン法ができ、高性能の焼却炉を導入するようになってから、返上されたかもしれない。しかし、ごみを焼却し続ける限り、焼却炉に大金を投じ、焼却灰の処理に頭を悩ませ続けなければならない。

日本もインドネシアも脱焼却を目指し、ゼロ・ウェイスト政策に舵を切る必要がある。

(追記)

インドネシアの廃棄物発電情報を検索したところ、さまざまな情報がヒットした。例えば、下記など。既にインドネシアも、廃棄物発電に向かって突き進んでいる。

THINK WASTE(2018.4.25)「インドネシア、廃棄物発電プラント建設加速、大統領制を施行」↓

http://thinkwaste.net/international/1894

THINK WASTE(2018.9.3)「インドネシア、廃棄物発電で日本と協力希望」↓

http://thinkwaste.net/politics/2048

じゃかるた新聞(2019.4.8)「バンドン県で廃棄物発電へ JICAがコンサル」↓

https://www.jakartashimbun.com/free/detail/47110.html

<参考>
インドネシアの10都市での焼却炉について↓
毎日新聞(2019.6.26)「プラごみ輸入禁止」
毎日2019.6.26.インドネシア禁止

GAIAの焼却炉レポートについて↓
「GAIAからの新レポート:アメリカにおける焼却炉の時代は終わりつつある」(2019.5.23)↓
http://eritokyo.jp/independent/ikeeda-gaia2019-may.html

鎌倉市の先進的な取組

先日、ゼロ・ウェイスト政策を進める鎌倉市役所を訪問した。

まず驚いたのが、多くの職員さんたちの机の上にマイボトルが置かれていたこと。さすが、自動販売機(自販機)からペットボトル入りをやめただけある、と感心した。

代わりに設置されているマイカップ対応の自販機は、清涼飲料だけでなく、スープなどもあり、小腹が空いたときにも役立ちそう。マイカップがなければ紙コップが出てくるが、マイカップを置いて「マイカップ」のボタンを押せば10円安くなる。

また、来客の多い場所には無料の給茶機が、売店にはペットボトル入り飲料の代わりにリシール缶が置かれていた。

市が管理する市役所以外の施設の自販機からも、ペットボトル入りは排除したそうだ。さすが「かまくらプラごみゼロ宣言」をしただけある。

生ごみ処理器も10種類以上を展示するなど、さまざまな工夫が施され、職員さんたちの話からもゼロ・ウェイスト政策が着実に進められていることが感じられた。

<関連記事>

鎌倉市も「かまくらプラごみゼロ宣言」

環境省、産廃の廃プラを自治体に焼却要請

環境省が、自治体に産廃の廃プラ焼却を要請する、という報道に愕然とした。

バーゼル条約の対象に、汚れた廃プラを加えることを日本とノルウェーが提案し、採択されたことから、G20に向けて、日本もようやくプラごみ対策に本腰を入れると思っていた。しかし、違っていた。

海外向けにはプラスチック対策をしています、という姿勢を示し、削減はほどほどにして、出てしまった廃プラは自治体の焼却炉で燃やしましょう、ということだったのか。

要するに、廃プラ焼却を国が奨励するということである。

これまで環境省は、容器包装リサイクル法の対象であるプラスチック製容器包装を分別回収から焼却に切り替えた和歌山市などの自治体を非難していた。しかし、これから先は非難できないだろう。今後、プラスチック製容器包装のリサイクルをやめ、焼却に切り替える自治体が増えることは間違いない。

廃プラの処理を依頼した企業から自治体が焼却代(処理費用)を取るのは当然だが、廃プラを受け入れた自治体には環境省が財政支援までするとのこと(毎日新聞2019.5.16)↓

関係者によると、家庭ごみの分別が徹底されてきたことで、自治体が所有する焼却炉は稼働率が低水準のものも多く、事業ごみの廃プラを焼却する余力があるという。このため環境省は、緊急避難的に廃プラの処理を市区町村に要請することとした。受け入れた自治体には財政支援をするほか、処理費用の徴収なども認める。

以前から、国が自治体に焼却施設の余剰について尋ねているというウワサは聞いていた。しかし、それはあくまでも緊急避難的措置で、現在溜まっているどうにもならない廃プラを焼却するだけだろうと思っていた。

自治体は今後産業界から出た廃プラまで燃やすことになるのだ。今は「お願い」という形だが、いずれは廃棄物処理法が改悪され、「義務化」される可能性もあるのではないか。

もしそうなれば、生産者責任など、少なくとも廃棄物処理に関しては、日本にはないということになる。

自治体にできることは、やはり脱焼却を目指し、焼却施設を作らない方向に舵をきることだ。

それにしても、日本の環境政策はなぜこれほど「退行」するのだろう?

欧州議会は、2020年から廃棄物処理や焼却施設への財政的支援を結束基金から排除する、と聞く。カナダでも、焼却施設の建設に、国から補助金が出ることはない、と聞いたことがある。

しかし日本は、焼却施設の建設に際し、国が補助金を出すのが当たり前になっている。国の補助金を使用していると、焼却施設に余力のある自治体は、今回の環境省による廃プラ焼却要請も断りにくいかもしれない。

<関連記事>

環境省による産廃廃プラ焼却推進論とデポジット制度反対論は同根

環境省の自治体廃プラ焼却要請の真実とG20に向けた海プラ関連ニュース(まとめ)

<参考>

毎日新聞(2019.5.16)「廃プラ、産廃も焼却要請へ 環境省、市区町村に 全体の8割占める」

http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/politics/mainichi-20190516k0000m010010000c?fm=topics

日本経済新聞(2019.5.16)「環境省、自治体に産廃のプラ焼却要請 来週にも通知へ」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44900660W9A510C1000000/

<関連記事>

バーゼル条約の廃プラ規制、とりあえず採択